はるかぜ

気ままてきとう雑記。 本HPは左のHP紹介欄バナーから。

藤坂峠と古和峠…そして

 8年前に初めて加太越えをやった時は、
まさかここまでのものになるとは夢にも思いませんでしたが…
まぁ、WWWの中には面白いHPがあるもので、
見事に中途半端に峠越えの好きな人間が出来上がってしまいました。

 三重県がまたそこそこお手軽な位置に峠を有している。
道の規格的に、そしてママチャリの走行距離としては、
そんなにお手軽ではないんですけど…頑張れば行ける。
これがまた
「年に一度は自転車で遠出をして体力維持の真似事を」
という私の目標に、うんまいこと合致するんです。

 ということで、
今年度の遠出は、藤坂峠に決定したのでした。
帰りのルートは、距離の関係で古和峠。
行ってきました。
HPへ載せる記事を作るために、撮った写真を編集しています。
そんなわけで、こちらには余談のようなものを…


 自宅から藤坂峠・古和峠経由でぐるっと回る計画でした。
キョリ測によると、総走行距離は約161kmです。
距離だけで言ってしまうと、名古屋往復より20kmほど長い距離。
ただしこちらに関しては、まごうことなき峠越えであるので、
勾配を考えると…というので、平均時速10キロで行程を考えました。
加太越えや長野峠越えみたいな、
緩やかなものや短いものならともかく、
こういう峠越えの時はいつも、速足で歩いて越えますしね…。

 朝9時40分ごろ出発。
松阪市に入る前あたりで、ちょっと酸欠気味に。
マスクをしているからというのもあるかもしれないのですが、
最近運動しても自然に息が上がるというのがなくて、
意識的にリズムよく息をしないと…気持ち悪くなってきます(汗)
運動の仕方がまずいんでしょうか…
とりあえず、松阪市街に入ったあたりで回復。

 松阪市街を越え、道を国道42号へ進み、
自宅から35kmほど走ったところで急減速…めっちゃしんどい。
自転車も、どれだけメンテナンスしても変な音立てるし、
そろそろ限界なのでは…と毎回思うのですが、
たぶん自分もぼろぼろだよ?っていうね。
39kmちょっといった「おきん茶屋」でお昼にしました。
あまり食べると後に響きそうなので、
温かいうどんと冷奴を食べました。
12時45分出発。

 47kmほどで、国道42号と別れを告げ、
三重県道46号で七保を通ります。
なんとか自転車を降りずにこぎ続け、
14時45分、
57.5kmほど行ったところで、通行規制看板のお出まし。
大型車(4トン以上)通行不能、幅員2m。
おうおうどんとこい、
こちとら軽車両も軽車両、自転車でやっつけんだい。 みたいな。
…歩きですけどね。

 地図を見ると九十九折がやばい県道46号ですが、
あれ以外の離合可能場所があまり印象にないっていうのが、
いちばんまずいんじゃないかなと思います。
林道よろしく道幅に轍があるという道が続く。
路肩には「路肩注意 三重県」の杭が打ち込んであり、
なかにはそれを体現すべく、下に転がり落ちているものも。
どこで離合しろと…
ちなみに、南伊勢に降りるまでに会った車は、
「工事関係車両」の札をつけた軽バン1台のみでした。
まぁこの先に用事あるのって、
NTT藤坂無線中継所か、国見山石灰鉱業の関係者さんだけですよね…




砂の目立つ藤坂峠。
 15時半前、62.5kmほどで峠に到着。
なんというか、砂の世界。
電信柱や標識や看板の足元が、砂に覆われている。
どうもここの地質のいうのは、砂岩と頁岩でできているらしい。
大紀町側の眺望が良くなかったので、
えらい寂しいところだと思いながら、南伊勢側を切通しから覗くと、
これはいい眺め。
いずれHPにも…と思ったのですが、
こればかりは写真が大きいほうがいいと思うので、こちらに。

三重県道46号南島大宮大台線の藤坂峠より、神前湾を望む。
3枚撮った写真を、色味調整してMSペイントで合成しました。
これは来た甲斐があった。
でも、見たかったのは実はこれではない。
こちらのHPに、峠から東西に延びる林道、
「国見能見坂線」について書かれいているのですが、
この西方の国見岩方面の終点から眺める大パノラマ、
あれを是非見たいと思って遙々来たのでした。
結論から言ってしまうと、
そこに至る道は、現在国見山石灰鉱業の道になっているようで、
国見山石灰鉱業のゲートのないアスファルト敷の道は、
僅かに高度を下げて終点へ到着したのでした(マピオン地図)。
確かに“現在の国見山石灰鉱業のゲート”の先の道は峠の上に来ており、
その先の二股の道は、右へ進むと高度を上げているのが地図からわかります。
ただ…後日薄く調べたところ、
林道国見能見坂線は平成13年度の再評価で事業中止になっており、
さきのHPのレポートは、まさに平成13年の5月訪問。
…ちょっと疑問の残った管理人だったのでした。
話が逸れるようで逸れないようで…なのですが、
林道国見能見坂線、職場の先輩に事前に情報を戴いておったのですが、
入ってしばらくのところで、一ヶ所崩れていました。
越えられないものではなかったので越えましたが、
崩落より手前と、崩落からほど近いところのグレーチングがすべて盗られていました。
無視できない幅の溝だったので、いちいち降車する必要があり、
非常にいらいらしました。 勘弁してくれ。
あと、落石がかなり多かったです…
やはり顧みられなくなった区間というのは、落石の処理もされないわけで、
そういうところに寂しさのようなものを感じてしまいました。
県道に戻ってきたのは、16時10分ごろ。

 上りは歩きなので写真もたくさん撮るが、
下りなんかは、しかも時間もあまりないというので、
ほぼほぼ写真は撮らずに駆け下りました。
途中電波塔と自転車のツーショットを貰ったくらいで、
下の河内の集落が見えてきたのは16時35分ごろ。
そこから10分ほどで国道260号と合流しました。

 実は越えたい切通しの峠は他に二あったのですが、
もうこんな時間で、古和峠越えも真っ暗なのは必至だったので、
すべて国道でやりすごしました。
その古和峠、入る前の幅員の告知は
「車道巾1.8m急カーブあり」。
藤坂峠より狭い。 というか、
カーブに離合可能な道幅を備えていた藤坂峠は親切だということになる。
いよいよ峠道という82km地点、時刻は17時半。
まともに写真も撮れないほど薄暗くなってきてしまいました。
冬の夕日は本当に落ちるのが早い…。
さすがに体力、そしてなにより暗い寒いと眠たくなってくるわけで、
えっちらおっちら峠を登り切ったのは、19時半ごろ。
家から88.5km地点。 6.25km(「キョリ測」より)を2時間て。
峠のちょっと手前では、水が流れていたので、
のどの渇きも限界に達していたため、そこで補給をし、
下りも近いので、
リュックサックから袢纏を取りだして羽織ったのでした。
下りも、初めて通る道で、
灯りもハンドルのサイクルライトのみ、
おまけに堆積物だらけの急坂なので、あまり速度は出せないものの、
20分ほどで柏野に到着しました。
道中なにが良かったって、星です。
もうほんときれいでした。
峠の頂上付近は、少ないものの空がひらけるところがあり、
そこから見た星空は本当にきれいでした。
5秒ほど尾を引く流星も見ましたしね…!

 国道42号へ合流し、
なにか甘いもの…というので、20時ごろ自販機に立ち寄ったらば…
…ない。
財布がない。
袢纏も羽織ったので、リュックサックなんてほぼ空っぽ。
ないわけが…あったのでした。
財布をどこかで落としてきました。
おおおお落ち着け私。
古和峠で袢纏を取りだすときに、
「袢纏の上に財布を置いているから気を付けよう」
と言いながら取りだした。
これは覚えている。
その時は落としたように見えなかったが、
実は落としていたのかもしれない。
そう思って、4kmを逆走…もとい逆歩。
これも(疲れて途中休んだり…寝たり!して)2時間弱かけて上り、
ちょっと下って水を飲んだところまできたものの、
肝腎の財布は見つからず。
また古和峠を下って、23時前に国道42号へ合流したのでした。
むなし手2時間半のロスは痛い。

 飯はおろか飲み物の補給もできない…
国道沿いなので、全く心配していなかったのですが、
財布がないなら話は別…なんか買っておくんだったと後悔。
よくよく考えてみると、
楽天モバイルを申し込んだときに、
5,000ポイント貰っているのを思い出しました。
幸い、沿線には楽天ポイントが使えるファミマが。
というか、この辺りファミマしかないやん…。
ということで、0時前に阿曽のファミマで晩御飯にすることができました。
おっかなさ過ぎて、ポイントで菓子と飲み物を大量に買う袢纏姿の不審客。
そして家から118km地点の大台警察署で、
遺失物届の手続き…。
お巡りさんに、
「自転車は車道を走らなきゃいけないけど、
この時間帯は車やトラックが飛ばしてくるので、
引っ掛けられるといかんので、
歩道のある所は、できるだけ歩道を走ってください」
と言われて、じわじわ有難みを覚えて、
大台警察署を出発したのは1時前でした。

 青看板と時計を見比べて、
割といいペースで来ているので、
6時くらいには自宅に…と思って、今日のことを振り返る道中。
お巡りさんには
「古和峠でこれこれのことがあったので、たぶんあそこに…」
と言ったのですが、
よおく思い返してみると、
藤坂峠に入る手前で、写真を撮ろうと思って自転車を離れたときに、
自転車が転倒して、
リュックサックの中身をぶちまけていたのを思い出したのでした。
あ…あそこに落ちてるような気がしてきた…
今走っているのは、その県道46号分岐の手前。
とはいえ、もう、
それはもう寒かったのと(身体がというよりも手足が我慢ならんかった)、
体力も限界…というか6時帰宅ってのがまずもって辛くて、
余分に20km走る気力なんて起きるはずもなく、
そのまま…免許証のこともあるので、
津警察署を目指したのでした。

 途中、雲出大橋を渡っていよいよ津市に…
というところで、突然の前輪ロックを食らい、
急停止する自転車。
スポークに金属の部品を巻き込みました。
順調に走っていたので、ちょっと腹が立ち…こんちきしょう…
…と路肩から歩道へ。
金属部品を取り除いて自転車をこぎだしても、
えらい音を立てて、自転車が進まないので、
よくよく見てみると、
巻き込んだ衝撃で、前の泥除けカバーも大破させて巻き込んでいました。
頂き物の自転車を大破させた罪は大きい。
…避けろとか無理ですよ、
夜中の主要国道を下ばっか向いて走るやつがあるかってんだ…。
元の位置に泥除けを持ってきても、
片方の支点がないので、プラプラしていて非常に危ない。
仕方がないので、レシート紙を紐にして割れた泥除けを括り付け、
走行を再開しました。
手がかじかんで上手く縛れず、ゆるゆるでしたけどね…

 津警察署で免許証紛失の件を話し、
免許センターで再交付するとよい、という話をしてもらいました。
ところが折り悪く月曜が祝日なので、
最短でも火曜日以降になってしまう。
これでは祖父母の買い出しができない…
とはいえ、身から出た錆といえばそれまで、
どうしようもないことは、
ひっくり返ったってどうしようもないわけで、
帰路に就いたのでした。
ほんとうに予想通り6時ごろに帰宅。
総走行距離は、173.59km。
風呂を沸かして脚をもみまくり、
7時から12時前まで寝て、仕事へ向かったのでした。


 その日の仕事終り。
仕事の同僚に無理を言って、
藤坂峠の狭路になる手前のところまで、連れて行ってもらいました。
自転車を止めていたところをヘッドライトで照らすと…
「あるやん」
「えっ、どこどこ、まじか!」
私は見つけられなかったのですが、
見つけてくれました。
これで無かったらいよいよ参った…という話だったのですが、
本当に良かった…です。 ばったり。
礼はしたものの、
かなり予定に無理を利かせてもらったので、個人的に後味が…
…どう落とし前をつけたものかと、ひとり彷徨っています。