はるかぜ

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iBook G3/BGAの似非考察

 iBook G3(A1006)についての、報告です。
誰に、なんのために報告しているかはさておき……(汗
 
 
 あのあと、iBook G3について、
比較的起きやすい症状について調べました。
したらばですね、
まず出てきたのは、PRAM・PMUリセットです。
G4のときも、意味もなく しこたまやりました。
ただ、リセットできている音はするのですが、
画面には依然出力なし。

 バックアップ電池がだめになっていると起動しない、
というのもありました。
ただその場合、
電源が入っている今回のG3ですから、
長時間電源を入れることで解決しそうなので、
これも違いそう。

 これがなかなか出てこなかったのですが、
最後に見つけたのが、GPUでした……って、
またお前かい!
圧したら点きました。 ほんと。
ただ、圧し方によって、
赤くなったり、黄色くなったり、緑色になったり……ハングしたり。
PPCFedoraは、一応起動……しそうでしたが、
これはといえば、メモリ不足ではねられました。
それにしても、前回に引続きGPUのはんだ割れ、
これも何かの縁ですから(違う)、ちょっとだけ調べました。
ちょっとだけよ……付焼刃なので、各自調べるよーに(丸投げ
 
 GPUBGAという方法で基盤に実装されています。
GBAではありません、それはゲームボーイアドバンス
ball grid arrayの略で、
端子が格子(→グリッド)状に並んでいて、
その端子にはんだを塗ったり、はんだボールを用いて融かすと、
自然と絶縁部を避けて、表面張力で丸っとなってくれる(→ボール)。
基盤実装時は、どうも炉の中に入れるらしい。

 GPUも熱を持つ部品です。
電源を入れて使えば熱を出すし、切れば冷める。
鉄路の継目に代表されるように、金属は熱で膨張するので、
それの繰返しによって力がかかり、はんだの破断が発生するようです。
あと、無鉛はんだの特性、
固いが脆い、という特性も併せて考えるべきらしい。
従前のはんだは、後付けかもともとか「共晶半田」と呼ばれるようで、
錫と鉛が63%と37%の合金で、融点が183℃、
鉛によって粘りが得られるため、外的環境に強い。
ちょいと蛇足ですが、
濡れ性(端子への浸入度合)にも優れるため、
端子露出部が少なく済んで、腐食しにくいらしい。
対して無鉛はんだは、
環境配慮以外の利点を挙げている箇所が見当たらず、
融点がおよそ220℃であるため、実装時の故障率が上がること、
濡れ性が悪く、端子部が露出したまま残りやすいこと、
そして、
鉛によって得られていた粘りがないため、
強度自体は上がるが、外的環境に弱いという。
この特性の違い、極端な話、
ゴム系接着剤とシアノアクリレート系接着剤との違いみたいだなぁと思った。
無鉛はんだは、廃棄製品、
特に、不法廃棄などから流出する鉛の人体への影響を鑑み、
RoHS指令の特定有害物質に挙げられたことによって登場したもので、
現在は、錫96.5%、銀3%、銅0.5%のものが、
電子情報技術産業協会で推奨されているはんだ合金だそうです。
銀が粘りを出してくれるらしい。

 話は戻して、
はんだ破断の主な修理法は、加熱再実装とはんだ再実装(勝手に命名しました)。
加熱再実装は、ネットではよく「リフロー」と呼ばれていましたが、
リフローはんだ付けとは、意味合いが似ているようで違う気がする……
はんだ再実装は、はんだボールから付け直すということで、
リボールと呼ばれているようです。
加熱再実装は、加熱することによってはんだを融かし再実装する方法、
はんだ再実装は、加熱していったんBGAパッケージを外し、
基盤とパッケージをきれいにした上で、はんだをもう一度載せ、
再実装する方法。
お手軽で安価なのはもちろん加熱ですが、
同じはんだを使うことから、一時凌ぎでしかないこと、
基盤や部品の耐熱、加熱許容回数を考慮に入れるべきである、
ということらしい。
あと、表面酸化による不濡れ(融合しない)も、
無鉛はんだ使用時の初期的不具合として起きやすいようですので、
であれば、破断したはんだに関しても、同じことが言えそうな気がします。
はんだ再実装に関しては、
その際に再発防止の観点から、共晶半田を使用する業者さんが多いようです。
まー、現行ならともかく、G3にお金かけてそれはないよなぁ……
 
 
 やるとすれば……
やるとすれば、加熱再実装だと思いますが、
調べてみると、DIYレベルではヒートガンが主流のよう……そんなのない。
あとは前回も調べて出てきた、オーブン加熱(絶対やりたくない)、
それより安全策っぽい、ホットプレート、
アメリカンジョークな方式として、キャンドル方式なんかがよく出てきました。
んー、旅館に出てくる固形燃料なら、相応の熱を得られそうですが……
もうちょっと資料を集めて臨みたいところです。
 
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参考資料:
〇無鉛はんだの実装不良関連
松本輝政(発行年不明)「鉛フリーはんだ付けの基礎知識」(2018年2月9日参照)
https://www.ipros.jp/technote/basic-lead-free-soldering/
・芹沢弘二(2004)「鉛フリーはんだ合金の特性・組成」,『表面技術』55(9),pp.582-585,表面技術協会.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/55/9/55_9_582/_pdf

〇無鉛はんだの信頼性関連
・赤塚正志(2006)「はんだの濡れ性に ついて(1)」(2018年2月9日参照)
http://www.pbfree.jp/topics/c-211/
・森郁夫・忠内仁弘・向井稔(2001)「電子・電気機器への鉛フリーはんだ適用技術」,『東芝レビュー』56(8),pp.24-28,東芝技術統括部.
https://www.toshiba.co.jp/te…/review/2001/…/56_08pdf/a07.pdf
・「鉛フリー実装評価」,OKIエンジニアリング(2018年2月9日参照)
http://www.oeg.co.jp/Rel/leadfree.html
山本健一・赤星晴夫・中野広・川村利則・小泉正博・木本良輔(2005)「Pb フリーはんだ BGA 接合部の衝撃信頼性」,『エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集』19,pp.87-89,社団法人エレクトロニクス実装学会.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ejisso/…/0/19_0_87/_pdf
・”Pbフリーの半田強度について”(2018年2月9日参照)
http://www.jwes.or.jp/forum/modules/xhnewbb/viewtopic.php…

〇無鉛はんだの経緯など
・「環境にやさしい鉛フリーはんだ」,大洋電機産業株式会社(2018年2月9日参照)
http://www.goot.jp/pb-free-solder/

〇リフロー・再実装関連
・「超簡単、ホットプレートでリフロー(はんだ付け)!」(2018年2月9日参照)
https://qiita.com/azusa9/items/a2fc4f26799de5588c58
・「燃やしてみたぜ!![iBook G3]」(2018年2月9日参照)
http://syt.asablo.jp/blog/2010/01/25/4838027
・「BGAリワークの練習中」(2018年2月9日参照)
http://yatsugatake.org/kodaira/2010/05/07/bga_rework_0/

BGA
・「光技術用語解説」,ウシオ電機(2018年2月9日参照)
https://www.ushio.co.jp/…/…/glossary_ha/ball_grid_array.html

〇はんだの破断
・「GPU半田クラックの原因」,株式会社 工房やまだ(2018年2月9日参照)
https://studio-yamada.jimdo.com/…/gpu%E5%8D%8A%E7%94%B0%E5…/
・著者不明(2014)「BGAの欠陥」,『Pbフリーはんだ付けの金属学的基礎』(2018年2月9日参照)
http://www.geocities.jp/kj2bank/BGAfailure.htm